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あの娘ぼくがブログ書いたらどんな顔するだろう

3歩進んでは2歩下がってしまう25歳ゲイのブログ

カラフル/本当の豊かさを教えてくれる森絵都のベストセラー

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

苦しいときにふと現れ、大切なことを教えてくれる「青春の一冊」。自分の一冊はなんだろうと考えたとき、森絵都の大ベストセラー「カラフル」が思い浮かんだ。

小学生のとき、僕は内気で大人しく社交的なタイプではなかった。放課後は誰とも遊ぶ約束をせず真っ直ぐ家に帰るのが常。反対に姉は明るく人気者。放課後はよく友達を自宅に招き遊んでいて、それがすごく嫌だった。隣の部屋から聞こえる楽しそうな声が自分のミジメさを浮き彫りにするような気がしたのだ。友達がいなくても何か得意なことがあれば自信も持てたのだが、僕は勉強も苦手だったし、運動なんてもっと嫌いだった。自信がなく常に周りの顔をうかがっているような子供だったと思う。

モヤモヤしながら冴えない日々を過ごしていたのだが、小学校4年生のときに図書館で綺麗な黄色の表紙に惹かれて「カラフル」を読んだ。主人公はぼくと同じように冴えない日々を送っている中学生の小林真。ぼくと同じように彼も自信がない、けど絵を描くこと好きで得意。学校でのイジメや家庭環境が複雑なこともあり一度は自殺した小林真。彼がもう一度ユニークな形で自分の人生をやり直すというお話。

自信がなく生きずらさを感じている真。そんな彼だけど、絵を通じて自分だけの内なる世界があることが何度も作品の中で描かれていた。密かに真に思いを寄せる友達や母親の言葉がそんな彼の世界を全力で肯定していた。

「絵を描いてる小林くん見てたら、なんとなくわかった。そっか、小林くんは自分だけの世界を持ってるんだ、って。小林くんの世界はとっても深くて、とっても透明で、とってもとっても、そこは安全なの。あたしすごくうらやましかった。あたしもそんな世界がほしくなって、そのまますぐに入部届だしちゃったよ」「小林くんの側で、見よう見まねで絵を描いて、あたしの世界を探して……、これさえあればなにがあっても動じずにいられるって、そんな強い世界がほしかったんだ」「小さい頃から、あなたは本当にマイペースで、自分だけの確固たる世界を持っていたようでした。引っ込み思案で、外に向かっていく力が弱い分、内なる世界は常に豊かに潤っているように見えました。」「ほんの少しだけあなたに、何も持って生まれなかった人間の悲しみを知ってほしかった。何かを持って生まれた素晴らしさを感じてほしかったの。」

自分の世界が豊かであれば僕も真みたいになにがあっても動じずにいられるのかも知れない。「自分の世界」とはなんなのか、何で構成されているかなんて10才の僕には見当もつかなかったけど、宇多田ヒカルを聴いている時と金曜ロードショーを見ている時は最高に生きてるなって感覚があったのできっとそのふたつで構成されているような気がした。自分にも自分の世界があるって思ったらなんだか嬉しくって、だんだん自信もでてきて、いつの間にか社交性も身についていた。

高校生のとき、自分が本当にゲイかどうか確かめるために当時付き合っていた同級性の女の子とエッチをしようとした。結果、あんまりうまくいかった。次の日、男とだったらうまくいくのかな?と試すために掲示板を利用して年上の男の人とした。結果、すこぶるうまくいった。男とヤッたことで「自分がゲイ」という事実が正式なものになった。「彼女も居るしまだ戻れる、俺はゲイじゃない」という拒絶の気持ちもありながら、その男に「また会いましょう!」と前のめりにメールしたりして頭と体がチグハグな状態。誰にも相談できなかったし、なにより当時の彼女に申し訳なさを感じて結構しんどかった。

そんな時、高校の図書館でまた「カラフル」を見つけて読んだ。文庫版だったけど、ハードカバーと同じ綺麗な黄色の表紙。主人公が思いを寄せるひろか(好きなものを買うために援助交際をしている)が雨の中で悲痛に真に向かって叫ぶチグハグな言葉が自分の状況と重なった。「三日にいちどはエッチしたいけど、一週間にいちどは尼寺に入りたくなるの。十日にいちどは新しい服を買って、二十日にいちどはアクセサリーもほしい。牛肉は毎日食べたいし、ほんとは長生きしたいけど、一日おきにしにたくなるの。ひろか、ほんとに変じゃない?」そのチグハグな言葉に真は「ぜんぜん変じゃないよ、むしろ普通すぎるくらい」と答える。このやりとりを読んですごく安心した自分がいた。「世の中の中高生はみんなチグハグに生きてんだな」と客観視できるようになって楽になった。
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必要なときに、必要な言葉をくれる素敵な本だと思う。三回目読むときはどんな状況で、どんな言葉が自分に刺さるのかが楽しみ。
 

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ノリマキ